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『BASARA』展

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先日の六本木クロッシングでも大きな話題を呼んだKAMIとSASUとのユニット“HITOTZUKI”が参加するアートショーが昨日より4日間行われています。
是非、足を運んでみて下さい。
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■展覧会名:BASARA
■開催期間:2010年8月4日(水) ー 7(土)
☆営業時間:11 : 00 – 20 : 00
☆オープニングレセプション(刺青師:SHIGEの刺青作品を纏う約12名の方々による刺青披露有り) :
2010年8月4日(水)19 : 00 ー 21 : 00 入場無料
■開催会場:スパイラルガーデン [スパイラル1F] 入場無料 港区南青山5-6-23 tel:03-3498-1171
■主催・企画・キュレーション:天明屋尚
■出展予定作家:池田学/伊島薫/井上雄彦/井上裕起/上田順平/歌川国芳/河鍋暁斎/金理有/三代目彫よし/SHIGE/月岡芳年/辻野裕明/天明屋尚/豊原国周/中島靖貴/成田久/野口哲哉/HITOTZUKI(KAMI+SASU)/松山淳/丸若屋+上出長右衛門窯/村山留里子/山口晃/横尾忠則
■その他出展予定作品:印籠/織部茶碗/鍔/変わり兜/簪/縄文土器/煙草入れ/デコ電/族車/デコトラ、他
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「BASARA」展
絢爛豪華にして反骨精神を持つ遺伝子が、
今、硬直化した日本に下剋上を突きつける。
 今展は現代美術家・天明屋尚が主催・企画・キュレーターを務め、あまり注目されてこなかった日本文化の側面にスポットを当て、従来の日本美術、あるいは日本のアート・シーンのイメージを刷新するものである。日本の伝統と言えばこれまで、静的で禁欲的、簡素でミニマルな印象を与える侘び・寂び・禅のイメージが強かったかもしれない。また最近ではアニメ・マンガなどのオタク文化も脚光を浴びるようになってきた。だが、そうしたステレオタイプな日本イメージは、まだまだ日本文化の一部にすぎない。私たちの文化には、華やかに散り咲く満開の桜を愛で、大空を彩る大輪の花火に酔いしれ、絢爛な神輿や山車で威勢よく活気づく文化もある。
 侘び・寂び・禅の対極にあり、そしてオタク文化とも相容れない華美(過美)で反骨精神溢れる覇格(破格)の美の系譜を、私は「BASARA」と総称したい。もともと「婆娑羅[ばさら]」は、中世の南北朝時代に流行した社会風潮で、華美な異風に身を包み、権威を嘲笑し奢侈な振る舞いを好む美意識の持ち主を指す。今展は、「BASARA」という日本のストリート文化史の特異点から、日本の文化軸と歴史軸をダイナミックに直結させ、美術史を大胆に読み替える新たな試みである。また私は、たった一つの「日本の美」「日本の心」といったステレオタイプな日本の伝統観にも懐疑的である。それは近代国家によって捏造された「創られた伝統」に過ぎない。むしろ、かつて京の「雅[みやび]」と江戸の「粋[いき]」が火花を散らし合ったように、異なる美の体系間のダイナミックな往還こそが、現在の日本を覆う閉塞感を打破する突破口にもなろう。戦後初の本格的な政権交代が起きながら、他方で格差の固定化を危ぶむ声が叫ばれる今、恐れずに違いを明確に打ち出すこと、自らのルーツや根差している文化に対して真に自覚的であること、それこそが「BASARA」的な態度であり、リアリティである。もはや曖昧な態度や判断基準が許される時代ではない。
 以下に掲げる「BASARA」の遺伝子たちは、現代の日本にもしっかりと息づいている。現代作家の作品はもちろん、縄文土器、金碧障壁画、変わり兜、織部茶碗、浮世絵、日本伝統刺青、デコトラ、グラフィティ、劇画、age嬢のデコ文化など、幅広い分野にわたる。これらを通して、硬直化した日本の文化観、伝統観、ヒエラルキーに対し下剋上を突き付け、流派ならざる流派「BASARA」の系譜として新たな美の基準を示したい。
天明屋尚